先日、ツイッターで岐阜の縫製工賃に関するツイートが流れてきた。
これを見て消費者にとってはそれぞれの感じ方があると思う。日本の衣料の価格からするとこれくらいでないと採算が合わないという指標くらいに思ってもらえばいいと思う。ちなみにこれは縫製工賃であって、生地や副資材、送料やその他人件費は含まれていない。
その件について、スペースでも話してたのですが、最低の縫製工賃が定められることも大事だけど、他にも重要なこともある。
工場というものは、単品の工賃も大事だがそれ以上に継続した取引が重要視される。
なんの仕事もそうだが、一気に仕事が来るよりも、毎月定期的に仕事がある方がいい。
安定した仕事がないと従業員も増員出来ないし、最悪、仕事がない日は工場を休まなくてはいけない。
例えば年に一回単発の縫製で100万の工賃より、年間毎月20万の仕事を出した方が事業は継続できるという感じで。
最近流行りの持続可能な世界はお仕事が継続してこそ意味がある。
それこそ昔の縫製工場は毎月仕事があって、仕事がなくなるとアパレルに「来月仕事ないんだけどなんか縫うものない?」ってな感じでアパレルに連絡をしていた。
じゃあ、「来月末納期でもの作りますか」みたいな感じで仕事を出し、その代わり工賃を交渉したりロットが少ない難しい縫製の仕事を頑張って縫ってもらっていた。
まぁ、持ちつ持たれつって感じ。けど次第に日本で服が作られなくなり、突発的な仕事も増え、アパレルも責任者の裁量で勝手に服を作れなくなったという背景もある。
昔が良かったとは思わないし、下手をすれば生産管理者もしくはマーチャンダイザーと工場が癒着している関係性は健全とは言い難い。
しかしながら、大手アパレルの生産量は減り、それに伴いアパレルの販売力に頼っていた工場が継続できる仕事を確保できなくなり、中国と比較されて工賃を叩かれ、淘汰されていった経緯がある。
淘汰が進んだ国内縫製工場ではあるが、やはり日本ならではの丁寧な仕事や技術を持った工場もまだまだあって、そういう工場は常に仕事で埋まっている。
そんなこと言ったら身も蓋もないですけど、結局は経営力があり実力のある工場は残るし継続できるんですよね…
そうは言っても、昨今の原料高を中心とするコストアップはキツいものがある。アパレルとて自分達のフィールドで戦う適正上代というのもある。簡単に上代は上がれないし原価率を上げて対応するにも限界があり、そんなことを続けていたら、こっちの事業が継続不可能になる。
結局はファッションの特性である付加価値を高めるしかなく、それがないとファッションは衣料品、日用品として価格競争に突入するしかない。
アパレルが「良いものは高いんです。みんな日本製を買いましょう」というのも勝手だし、工場が「安い工賃で叩いて日本のモノづくりを軽視している」と言うのも自由だが、実が伴わなければ説得力に欠ける。
今はアジア圏や中国の不安定な状況から国内縫製はパンク状態ではあるが、今後状況がどう変化するかわからない。アパレルは縫製工場と昔ながらの癒着体質とは違う新たな関係性をもってモノ作りしていけると良いですよね。
なんか月並みな結論になっちゃった。それでは😌