kaizeの部屋

ツイッターからはみ出た日記

生地の揺れ

歳をとると昔のことしか言わなくなるって、ほんとだなって自覚するほど過去の話を何度もしちゃうのだが、俺が服を本格的に好きになったのは高校生の頃、ファッション通信というテレビ番組で、ファッションショーを観るようになってからです。

 

モデルが服を着て歩く。非常に美しい光景なんですが、個人的1番楽しみに見ていたのは、モデルがキャットウォークすることによる服の生地の揺れだったりした。

 

モデル特有のウォーキングにより起きる柔らかい生地のフルイド感やハリのある生地の跳ねるような動き、ゆとりのあるパンツのシルエットが歩くことで体に沿っては揺れる動き、しっかりしてる生地だが裾の見返しは軽やかにパタパタ動く感じ、ファーやフェザー素材の毛足が揺れるのも好きだった。

 

服のデザインがというよりも、生地のしなやかさや軽さを表現する生地の動きが好きだったんだなって思います。俺的には仕立ても重要ではあるが、目付けのあるコート地でも、細番手のリネンでも、シルクでも良いものは良い動きをする。

とにかく、いい服はいい感じに揺れて動くのである。

 

先日のドリスヴァンノッテンの退任のニュースに引き続き、ヴァレンチノのピッチョーリの退任のニュースをみた。

ヴァレンチノの服は着たことがない(そもそも着ていくところもない)がピッチョーリのショーは毎回非常に好みだった。

フェティッシュだが上品、エレガンスだが強いエッジ、コンサバベースにして夢のあるシルエット。何より生地の揺れが最高だった。

 

良い素材を使ってるブランドなんて他にもあるが、ヴァレンチノの生地の揺れは俺の好みだったんすよ。

 

情報によれば、ピッチョーリはヴァレンチノに25年在籍していたらしい。長くいたからこそ創業者ヴァレンチノガラヴァーニの考えを深く理解し、新たなブランドアイデンティティを表現できたのかな?って思います。

話題だけのデザイナー起用ではそうはなりませんしね。

 

なんにせよ、俺の生地の揺れに対する欲求を満たしてくれてありがとう!ピッチョーリ。と言いたい(ショーの映像見てただけですけどね)

 

それでは

制服の話

娘が4月から高校生になり、制服を買わないといけない。娘は中学校からスカートではなく、ズボンを選んでいるので、高校もズボンにするとのこと。ちなみに男子生徒用のスカートは無いらしい。

 

最近制服の価格についての意見をよく目にする。

「制服が高い、ユニクロで十分では無いか」という意見も多い。確かにユニクロなら指定制服よりも少し安いかもしれないが、俺はどちらかというと反対だ。時代錯誤かもしれないが、俺は学生には学生の為の制服を着てほしい。

 

そう感じる人がいるかもしれないが、子供が産まれた時は、高校生といえばテレビやアニメの中に出てくる人物で、まさか自分の子供が高校生になるとか実感はなかった。

 

アニメ好きというのもあるかもしれないし、ファッションを仕事にしてるからかもしれないが、いざ子供が制服を着る年齢になると学生らしいかわいい制服を着てほしいと思ってしまう。

 

かわいい娘にはかわいい制服を着てほしい。男親ならそう思う(んじゃない?)

 

このような仕事をしているので、制服の作りや混率、原産国などは買った瞬間すぐに確認する。昔はウールサージのようなしっかりした硬い素材が多かったが、今はウールポリの家庭で手洗いできる素材である。

とはいえ生地はしっかりしており、肩周りの作りも程よく立体的だ。特にボトムのインベルはかなり硬めで何度洗ってもウエスト周りはクタらない仕様になっていた。まぁ学校によるかもしれんけど。

 

ワイシャツはポリエステルだ。洗濯機で洗ってもシワにならない。まぁ作りは平面的であるが価格も3000円台なのでこんなもんだろう。ちなワイシャツは日本製ではなくベトナム製だった。

価格はブレザーで1万中程度、ズボンで一万円弱といったところ(日本製)

俺の買う数日に1回しか着ない服の数分の1の値段だ。

家庭の経済状況にもよるので断言しないが、俺からすると到底高いとは思えない。

 

娘は中学3年間で身長は伸びたものの、棒のように痩せてるので制服がサイズアウトすることはなく、ぶっちゃけ一着しか買わなかった(ワイシャツは何着か買い足したけど)

それでも最後まで型くずれすることはなかった。

 

制服って3年間ほぼ毎日着ることを考えると安い買い物と思うのだ。

ユニクロなどの服は確かにパッと見はそれなりに出来てると思うが、多分3年間、毎日着ることを想定していない。

もし、量販が本気で制服を作るとすれば3年間毎日着ることを想定して作らないといけない。そうなると生地、芯地、仕様面での考え方は変わってきてコストは高くなるだろう。

 

日本の制服の産地はある程度決まっている。

全国の学生服の7割は岡山県産だ。私の母の友人も岡山で制服を作っていて、専門学校時代に見学に行ったことがある。

 

これまで、様々な制服を何万枚も生産してきて、制服のことは熟知しているし、縫い慣れている。当然、学生がどのような動きをするのか扱いをするのかもわかった上で作っていると俺は思う。故に娘の制服は3年間無事だった。

 

少なくとも、学生が毎日のように着るということを理解している限り、それを作っているというプライドがある限り、最低限の品質は守られていると思う。

 

服というのはパッと見でわかる価値と見えない部分の価値というものがあると思う。例えばデザインや生地はわかりやすいが、動きやすいパターンや生地の耐久性などはすぐにはわからない。

縫製仕様なんてものもほぼわからない。特に既製服にとって芯地は非常に重要で、芯が悪いと見かけも悪くなるし、持ちも悪くなる。

日本のアパレルでもよくあることだが生地はローカル(中国)でも芯地を含む副資材は中国のものだと質が良くないので日本から送り込むこともあるくらい大事な部分だが表からはほぼ見えない。

(当然、日本から送り込まれた資材の分だけコストは高くなるが。一概には言えないが、中国製なのになんで高いの?みたいな服はそういった理由も一部ある)

 

なんにせよ、俺は指定制服の値段と品質のバランスに関しては満足している。まぁ有名私立とかデザイナーがデザインしたとかそういうのは知らんけど。

 

おわり☺️

甘い服

先日、フリルやラッフルなどの甘いディテールをカッコよく引いてくれるパタンナーを好むデザイナーが多いという旨のポストをして、特に反響はなかったのですが、俺のTLではカッコいい服を望む女性は多いなっていつも思う。

 

甘いディテールは何か媚びてる感じがするからか、なんだか似合わないという気がするのか。まぁ単純に好みではないという事なんやろうけど。

 

先日、某百貨店でママさん向けと思われるブランドがポップアップショップを開いていた。

百貨店のポップアップといえば、昔は出店を前提としてのテスト販売とか、空いた場所を遊ばせておくことは出来ないから埋めるという位置付けだったと思うが、今はどうやら様相が違う。

もちろん、テスト販売や場所を埋めるというのはあるだろうが、百貨店の力だけでなくお客様を呼べるブランドに声をかけてる感じがします。いわゆるインフルエンサーブランドのポップアップが増えたのもそういうことかと。

当然、ブランドとしても百貨店の力を借りて更に知名度が上がる可能性はありますから悪い話ばかりではない(マージンとかの話は置いておいて)とは思うのですが、百貨店の求心力(お客様)が落ちた、もしくは本来百貨店に来ない人たちを呼びたいという時代の流れは感じます。

 

話が逸れましたが、そのポップアップしてるブランドはフリルやパールやパフ袖など、かなり甘めのディテールが満載のブランドでした。お値段は安くはなく高くもない中間価格。まぁ百貨店でポップアップするくらいだから安いブランドは基本やらないんでしょうけど。

ちなみに、百貨店の方達は「高くても良いものだったら売れます!」という圧が凄いですね。高すぎたら売れないという百貨店の人には会ったことありません。当然、自分たちのお客様の質に自信があるからでしょうが、値段は関係ない、良いものは売れるという信念が行き届いているのでしょう。まぁ、いいか。

 

この業界、一概には言えないのですが、ウィメンズファッションにおいて、甘い服は売れやすい傾向にあります。メンズライクよりも女性らしい服が売れるのは身をもって感じています。

今でこそメンズライクなカッコいい女性像に憧れる人達もかなり増えましたが、やはり甘い服の方が流れに乗りやすい傾向にあるかなと。

 

子供の参観日なんかに行くとよくわかります。ボウタイブラウス、リボンのついたバッグ、パフスリーブのトップス、ペプラムヘムのジャケット、パールのついたワンピースなど、非常に多いです。好きとか嫌いというより、その場に相応しいと感じてるのもあるかもしれませんが。

だから、その某百貨店のポップアップを見て「こんなお母さんめちゃくちゃおる!ママさん達向けのブランドやなー」って思ったわけです。

 

一方、デザイナーは全体の8割はカッコいい服が好きです(ど偏見)

「リボンもパールも付けたくない、ギャザーもラッフルも辛く仕上げて!曲線はできるだけ使いたくないけど、カッコいいだけじゃダメ、シアースカートで甘さをひとつまみよ!」

……普通かよ!って言いたくなりますが、だいたいこんな感じです。

 

俺からすると、辛さに振り切れないし甘さにも振り切れない、甘辛はもういいから…やるならもっと深い部分で考えて!と思うが、めちゃ難しいのはわかるから言えません。

甘いけどエッジが効いてる、甘くないけど女性らしい。出来そうで出来ないもんです。

だから、みんな唇を噛みながら必死にパールのついたブラウスを、ペプラムダンボールニットを、どこかで見たような袖口がレースになってるワンピースをデザインしているんだなって…

 

けど俺は甘い服、好きよ。似合ってればいいというのもあるけど、やっぱシャープなメンズライクって着こなすの難しいし、間違えると地味になっちゃうもんね。

とそういうわけで、また。

 

 

メンズコレクションの所感

こんにちは。

メンズコレクション終わってしまいました。

前から言ってますが、俺自身自分の服に興味がないというか、そこまで服が欲しくないというか、そんな感じなので、ただ眺めているだけという感じで、これ欲しい、あれ欲しいみたいな面白いことも言えないのですが、それでも中にはこれだったら着れるかなぁとかそういうのものあるのです。

ということで、俺的なメンズコレクションベスト8でも書いておきます。(10にしなかったのは途中で書くのが面倒になったからです!)

 

まずは第8位

ディオールメン

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キムジョーンズって人は天才ですからね。柔らかさを通り越してフェミニンっぽく感じられるけど、まぁメンズだなと思わせる、なんとも不安定なバランスだったなと。普通にやったら失敗しそうだけど、ディオールだからか、ラグジュアリーとして成り立ってるというか。また、メンズのクチュールラインを示唆してるとかなんとか。

まぁ素晴らしい。俺は着れんけどね。

 

第7位

S.S.DALEY

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聞いたこと無かったけど、かわいいなって思いました。デザイナーはSteven Stokey-Daley(スティーヴン・ストーキー・デイリー)という人らしい。この手の服は日本でもウケそうな気がするんですけど、日本での取り扱いはあるんでしょうかね?実物を見てみたい。

 

第6位

バルマン

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デザイナーはオリビエルスタンは今の時代にこのテイストを表現できる人はこの人しかいないんじゃないかなってくらいの奇才だなって思う。

ともかく、ウケるウケないは別として、今のメンズシーンでこのインパクトを残せるブランドは他に無いかな。全然好みでは無いけど、クリエイティブ面では素晴らしいと思いました。

 

第5位

ルメール

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画像がウィメンズになってしまったが、基本ルメールはウィメンズの方が良いと思う。メンズだと高級な無印良品の感じが出過ぎるというか、ウィメンズはドレープを活かせるので良いなと思います。

ハーフパンツにブーツなどを合わせるのは年代問わず真似できそうだなって思います。

 

第4位

グッチ

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グッチは前回のウィメンズと同じ服をメンズに落とし込んだコレクションでした。デザイナーは昨年、アレッサンドロ・ミケーレから引き継いだサバト・デ・サルノという人。当初はZARAみたいとか言われてましたが、俺はミケーレより好きかも。ただ、彼らしいテイストというのはまだこれからという感じかな?

 

第3位

JW Anderson

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ここ数年、1番好きなデザイナーです。元々アンドロジナスなデザインが得意なんですけど、イギリス出身だからか、変ないらやしさがなく、ユーモアで処理するデザインがなんとも憎らしい。ありそうで無いものを打ち出せる商業的にも優秀だなって思います。

 

第2位

ロエベ

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先程のJW Andersonがデザイナーのロエベ。もはやどっちがどっちかわからんけど。まぁなんていうか好み。ただそれだけ。

 

第1位

ドリスヴァンノッテン

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普通に好き。てかね、俺にどのブランドが良かったかって聞いてもドリスとしか言わないんすよ。

ただ、今回はスタイリングが良かった。アームウェア?グローブとか袖にアクセントがある着こなしは好きだな。真似できそう。

 

と、今回のメンズコレクションはこんな感じでした。もちろん、世間的にはファレルのLOUIS VUITTONや日本の人気ブランドサカイ、ベッドフォード、カラーなんかも評判が良かったみたいです。

ということで。またー

 

リスクを取るということ

こんにちは、しばらく無職のかいせです。

こないだ、ツイッターで受注販売と在庫の話を見かけました。

ことの始まりは、「受注販売をすれば在庫を持たずにロスがない」みたいな感じの話だったかな。

物販、というかアパレルビジネスにとって在庫を積むのか受注生産なのかというのは比較的大きな判断かと思われます。ビジネスのやり方が変わってくるというか。

まぁ全部受注で成り立つんならそれがベターかと思いますが、なかなかそうはいかない。

 

よほど商品に自信があるか、売上なんてそこまで要らないというならいいんでしょうが、ほとんどのアパレルには当てはまらんでしょう。

受注生産のメリットとすれば受注を受けた分だけ生産するわけで、商品が上がったらすぐにお金になる、もしくは必ずお金になるはずの在庫となりますので、受注さえ取れれば安心というのはあります。

デメリットとすれば、もし受注が予定よりも少なかったら計画が大きく崩れることになります。また、受注生産とは言え、生地や付属、縫製工場などをしっかり押さえてないと、「受注入ったから1ヶ月後に商品納めて」なんてよほどタイミングが良くないと難しいものです。

 

生地は何反使う、枚数はこれくらいなどと生産現場と打ち合わせは必要ですからね。

 

難しいことは置いておいて、受注生産というのはローリスク、ローリターンのビジネススタイルだと思います。

 

そのようなツイートをしておりますと、小売店のオーナーの方からこの様な返信をいただきました。

 

『昨年ですが在庫を増やしたら売り上げが上がりました。もちろんそれだけでは無い(取引先と品揃え変更、コ○ナ明けなど世情の影響)とは思いますがこれまで出来るだけ少ない在庫でロスを出さずに売り切るというスタンスに限界を感じて、血便出る思いで発注しました。』

 

ああ、素晴らしいなと。売上を上げるというのは儲けるということではありますが、会社を維持するためには必要なことだと思います。会社を大きくするとかだけではなく、お客様に満足する商品、サービスを提供するためにはお金は必要ですしね。そのためにその方はリスクを負って在庫を増やしたわけです。

 

続けてこの様なことも仰ってました。

 

『今更なのですが😅、仕入れの際の選択、売り方、売り込み方、宣伝方法など以前よりもより考える様になり少ない在庫で効率的にやっていた際の「短期間で売り切る」癖も手伝ってくれてます。』

 

リスクを負うということは、考えること。どうやったらこの在庫を売ることが出来るのか、その為には仕入れも吟味するし、売るシミュレーションを日々真剣に(これまでが真剣じゃなかったということではなく)考えるというのは本当に大切だなと。

また、「短期間で売り切る癖」という土台があったからこそ、自社が持ってる売る能力をより具体的に想像出来ていたのが良かったんだと思います。

 

在庫は悪だと言われますが、在庫は資産ですから、その資産を計画的にお金に変えていくという段取りが出来ているかどうかの話(まぁそんなにうまくはいかないでしょうけど)だったりしますし、自分たちの能力を客観的に捉えて、計画することで、どのくらい作って(仕入れて)、どのくらい売れるのか具体的に考えることはできるのかなとは思います。

 

何を言いたいのかというと、受注生産にしても在庫を積むやり方にしても、計画を作って整合性が取れればどっちでもいいんじゃないと思うし、逆に計画が不透明ならどっちもダメなんじゃないかな?ということ。

 

ちなみに、某マッシュの『オープン初日〇千万の売上到達!」みたいな感じでニュースになったりしますけど、あれはそれを売る分の在庫を積んでるということですからね。勝手に売上は上がりませんから。もちろん、それを売るための計画、オペレーションがしっかりしてるから売れるのであって売上なんてものはなるべくしてなるものだと思います。

 

あとね、かなり昔ですが、ストゥデイオスの谷さんの記事。買取と委託の話ですけど、やっぱ人間ですから同じ仕事をしててもリスクを取るのと取らないのでは意識は変わりますよ…

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とは言えビジネスですから、リスクを取りまくってては精神的に良くないので、やっぱ受注と手張り(勝負後に金を支払う条件で、ばくちを張ること)のハイブリッドという方法も良いとは思いますけど。

 

相変わらずの散文で申し訳ないですけど、この辺で。

ロゴは大事らしい

ツイッター界隈でよく話題に上がるネタの一つにマルジェラの四つ糸がある。

つまり、マルジェラのアイコンでもある四つ糸はただの飾りかブランドアイコンかという話なのだろう。

あれは取るべきだという人、マルジェラ本人の意思を尊重したい人、どうでも良いと思ってる人、様々ではある。

個人的にはアレはブランドロゴみたいなもんで、これはマルジェラの商品ですよとかなり強烈に主張していると思っているので意地になって取らなくてもいいかなとは思ってる。

 

今でこそマルジェラは有名になったが、以前は知る人ぞ知る知るカルトな人気のブランドだったと思う。

以前は玄人好みのデザインだと俺は思います。けど、ここ最近になってタビブーツの派生商品のバリエーションが広がり、誰にでもわかりやすい服がたくさん作られるようになったと思う。

余談ですが、ジョンガリアーノというデザイナーが創業者のマルタンマルジェラから引き継いでデザインを担当しているのだが、売上は好調とのこと。彼の功績ということもあるだろうが、間違いなくMD戦略が功を奏していると考えた方が自然だと思います。

 

売上を拡大し、カルトなブランドから世界的なブランドへ成長させる。OTB(マルジェラを所有しているdieselで有名な会社)にとっては当然のことで、ここ最近のマルジェラのマス向けのベタな商品群も致し方ないことだろうとは思う。

 

当然ながら、マルジェラの四つ糸はブランディングとしては武器になる。そこを見逃すということはあり得ない。意図的に戦略的に使われているのは事実でしょう。

 

ブランドの歴史から言うと、ロゴやアイコンというのはブランドを成長させるには不可欠な要素と言える。

例えばNIKEのスウッシュadidasのスリーストライプスなど一目でわかるわかりやすさからブランド力は確固たるものになったと思う。

 

あのアイコンがなかったらどうだっただろうか。ここまで成長したかどうかは謎。

 

アパレルでいうとCHANELのココマークやヴィヴィアンウエストウッドのオーブ、リーバイスのアーキュエイト、ラコステのワニ、ラルフローレンのポロプレイヤー、プレイコムデギャルソンのハートなどなど…挙げるとキリがない。ブランドを成長させるには、わかりやすさ、視認性の高さというのは必要不可欠なんですね。

 

俺からするとマルジェラのそれも同じ効果を発揮していると思う。

ロゴというのはファッションのデザインとはかけ離れているロゴでのビジネスはファッション好きには嫌われる傾向にあるものの、事実としてロゴがあれば売れるというのはアパレルでは常識的な話でもある。

 

もちろんデザイナーの中には、ロゴでのビジネスを嫌う人も多く、ロゴではなくデザインでブランドを表現したいと思っているものの、現実はそう簡単でもないんすよね…

 

もちろん、ロゴだけ目立っても中身がスカスカだとイメージも良くないので、気の利いたデザインや品質あっての話だとは思います。

 

マルジェラだって知る人ぞ知る知るカルト的な土台の上に四つ糸があって成り立つわけで、最近だとロエベなんかも、革新的なレザーグッズやアパレルのデザインがあるからアナグラムのトレーナーが売れるわけですよ。

 

数年前、ロゴドンと呼ばれる、でかいロゴが入っただけの商品がダサいとか言われてましたけど、基本的には見せ方、やり方次第ということでしょうか。

 

しつこく書きますけど、ロゴやアイコンを用いたブランディングはとても重要なんすよ。だからやっぱり、ブランドを成功させるにはそのアイコンを作るのに非常に労力とセンスを要するし、そこを蔑ろにして、デザインだけで勝負だ!というブランドは(心意気は素晴らしいが)少し頭を柔らかくした方がいいのではないかな?と思ったり。まぁ一つの選択肢として頭の片隅にでも置いておくといいのかもしれません。

ということでまた。

デザイナーとはなにか

こんにちは。無職のカイゼです。

暇すぎてブログ書いてます。

タイトルは大袈裟ですがなんの真理にも至ってません。あしからず。

 

最近というかね…ずっと思ってる事なんですけど、デザイナーってなんなんでしょうね。

俺はこの業界はデザイナーとして入ったんですけどその当時は、生地選んだり作ったり、デザイン画描いたり、仕様書いたり、トワルチェックしたり。まぁ、デザイナーといえばこんな感じかなって仕事をしておりました。

けど、時は流れて大阪の事務所でディレクターとしての仕事するようになって、これはデザインをしているのか?という気持ちになることが多くなりました。

 

というのも、工場やらOEMがたくさんサンプルを持ってきて、それを叩き台にしながら服を作っていく作業がほとんどだったから。

サンプルをズバリ作ることはないのですが、サンプルありきの企画が半分以上あるわけです。

 

ニットカットがメインのブランドだったのでデザイナーはいわゆる糸と色と編み地の変化でファッションを表現するというよりもテキスタイルにフォーカスした仕事がメインだったのもあるかもしれません。が、ニット以外は何かしらのサンプルを叩き台にしてデザインすることが多かった。

 

まぁ、布帛のデザインをやっていた俺も、参考サンプルを見てデザインしてないものの、雑誌や写真見たり、店頭などの商品をスケッチしてデザインしてましたから、同じようなもの?って感じてましたが、叩き台のサンプルがあるのと、写真やスケッチをみながらデザイン画を描くのとでは、やっぱなんか違うんじゃないかなーなんて。

 

確かなことはわからないんですよ。その微妙なプロセスの差が最終的にどのような違いをもたらすのか。

 

本当はボディに生地を当てながら、もしくは生地を触りながらデザインを描け!とにかく手を動かしながらデザインしろと口酸っぱく言われてましたから、雑誌や写真をみながらデザイン画を描くことも少し後ろめたさはあったのですが、参考サンプルの生地を変えたり、丈やディテールを変えたりしてデザインするとこが果たしてデザインしているということになるのか。ピュアな俺はモヤモヤしながら仕事をしておりました。

 

それから十数年、人とは変わるものでサンプルありきのデザインに関して後ろめたい気持ちも薄れていき、売れるものを作るということに主軸が変わっていったように自分でも感じます。ただ、一つだけ、ニットに関してはオリジナル性の高いものを作って欲しいということだけは言い続けたと思います。それがなくなっては、もはやブランドではなくなってしまうと思うから。

 

でもさぁ、ぶっちゃけデザイナーの本当の役割ってそういうことではないような気もしてるんですよ。手段、プロセスというのはなんでも良いような気もする。参考サンプル使おうが、ボディに生地を当てながらデザインしようが、どっちでもいいのではないかと。

 

重要なのは新しく新鮮なスタイルを作り上げること。その人でしかできない雰囲気を作り上げること。これに尽きるのではないかと。

だからその手段はなんでもいいのではないか。

 

けど、それってデザイナーなんか?ディレクターではないのか?しかし、新しく新鮮なスタイルと雰囲気はデザインに紐づいてると感じるから、やっぱデザイナーでないといけない?とか。モヤモヤモヤ。

 

とまぁ、細かいことはどうでもいいんですが、実際問題、デザイナーの手腕は生地、縫製、パターン、販売に至るまで、服を量産して流通に乗せる力というのが必要なので、新しく新鮮なスタイルを作り上げるだけではダメなんですけどね(それだけだったら極論素人にもできちゃうから)

 

ちょっと散文になっちゃったけど、そういうこと(どういうこと?)で。また。