ツイッターで流れてきた、UAの栗野氏と映画監督の河毛氏の対談の記事。https://www.gqjapan.jp/fashion/article/20221230-kawake-kurino-madeinjapan
詳しくは中身を見ればわかるのですが、国産の服に関して言及されてました。
確かに、ここに出てくるブランドは人気もありそうだしビジネスとして成り立ってるんだと思います。
国産服のメリットはそれ自体に価値があるわけではなんですけど、例えばブランド(デザイナー)と工場の距離が近いので、よりイメージに近く高い熱量が伝わる服が作りやすいとか。
生地や付属のバリエーションやクオリティも高いのでブランドがイメージする生地や付属、副資材の手配も細やかにデザイン出来ます。
また、これはいいことか悪いことかわかりませんが、生地も縫製もロットが少なく、小ロットでの生産が可能ということもあると思います。
納期に関しても、物理的に距離のメリットを生かした短納期も理屈上は可能ですかね(スケジュール押さえて計画的に生産しないと本当は無理ですけどね)
けども、日本の服の流通量は全体の2%ど3%と言われるように全体感としては少ないものです。
まぁ、これって枚数ベースの話で、金額ベースとなれば20%くらいあるんじゃないかな?
(というか、小売店舗の法改正とかで安い量産品がそれまでの倍くらい流通するようになったので、その辺を踏まえてないと変な感じになりますが)
国内のファッションは上代ベースで7兆円の市場規模がありますので、その20%ってことは…まぁ、そこそこの金額ですね。
(間違ってたらごめんね)
そう考えると、高付加価値の国産の服も捨てたもんじゃないなと思いますが、問題はこれから拡大するのかどうか。
ビジネスなんで、国産比率を高めたところで、需要が無いと成り立ちませんで、基本的には国産の服を求める人が多くならなければ、国産服の流通量増えないし、市場規模が縮小または横ばいであれば、市場に新たなブランドが入る隙がなくなるか、今あるブランドが淘汰されるかのどちらかになってしまう感じですかね?
何が言いたいのかというと、よく言われてる通り、やはり日本市場だけではこのまま拡大しないし、いくつものブランドが生まれて消える繰り返しが起こると思います。市場の原理でそれは仕方ないと思うものの、狭い市場を分け合って商売するのもなんか夢がないと言いますか。やはり、ビジネスというのは拡大していかないと安定しないし、潤わないと感じます。
(古い考え方かもしれませんけど)
そこで、海外に出るという選択肢も出てくるんですが、まぁ、内需が強い産業でしたのでこれがなかなかうまくいかない。
ツイッターでも書いたんですが、サカイなんかは海外に目線を置いたブランドで、たしか国内売り上げを海外が超えてたような気がします。
何かのインタビューで読んだんですが、海外に出るには海外のルールに従わないといけない。という感じの方針を立てたみたいです。
日本のルールでは海外では戦えないということらしいです。
例えばファッションショーに関してもちゃんとやらないといけないし、内外価格差に関しても対応できる価格設定でないといけない。栗野氏の対談でもありましたが、海外では原価率は低くその分広告や店舗などに費用を使いますので、ともかく上代は高くなります。卸なら掛け率も全然違いますので、国内卸の原価率30%みたいなのは自殺行為なのかもしれません。なんで良いものを安く売るんだ!って言われそうですね。
中国でも値引き販売(セール)がデフォルトの市場なのでまともにやっては損をするなんていう人もいます。
あと、その対談でもありましたが、欧米のステイタスとしての服というのもあるのかな。ロゴマークのついた服が多いのもその辺が関係してて、中国なんかでもメンズ服はロゴが売れそうです。よく着てる印象です。
逆に日本人の方が服の良さの本質を感じて買っていると言えるかもしれませんけど。
なんというか、ビジネスの発想、常識はもちろん、文化や慣習にも違いがあるから、日本で良かれと思う服作り(ロゴよりデザインで差別化、なるべく原価を抑えた価格など)は理解されにくいのかもですね。
特効薬も特にないですが、目線を上げて日本ならではの付加価値を作っていくしかないかなぁ。月並みですが。
ただ、時代も変わっていきますので、世界の常識も変わって行くでしょう。先程も言いましたが、まだ国産服の内需で何百億の規模はありますし、時が解決するとかいうこともあるかもしれません。
余談ですが、こないだ俺の担当するブランドで取引していたOEMが国内縫製の事業をやめるとの連絡をもらいました。多くの仕事をして貰ってたので、残念だなと。ウチがもっと仕事出せてたらとは思いますが、おそらくそういう短絡的な問題じゃないですね。
せめて、日本がどうこうというより周りの人達から潤うような仕事がしたいなとは思いました。
それでは😌