kaizeの部屋

ツイッターからはみ出た日記

値上げの話

ここ最近、値上げの話多いですね。

マクドナルドやミスタードーナツとか大手も値上げしている状況。その他食品、マヨネーズとかカップヌードルなども値上。値下げする要素は無さそうです。

アパレルにフォーカスすると、綿花など原材料、輸送費、縫製工賃などの値上げによりかなり厳しいなという状況。

また、ここ数年のコロナによる在庫の処分(値引き販売等)の損をなんとか取り返そうとしているもののカバーできない状況で、これ以上の利益の低下は避けなければいけない感じ。

各社、企業努力だけでは成り立たない状況が続き値上げという本当はやりたくない施策に踏み切っていると感じています。

 

ところで、ここ数ヶ月国内の縫製工場はパンク寸前、と言うかもはやキャパオーバーしており、おおよそ半月から1ヶ月ほど納期が後ろ倒ししているところが多いそうです。つまり納期遅れ。

そして、特急工賃と呼ばれるチャージアップで縫製しているところもあり、アパレルも工場もあまり経験がない混乱した現場になっているみたい。

 

理由は中国の不安定な状況から国内生産に回帰しているということ、そして中国人技能実習生が確保できずに生産性が激減しているということ、各アパレルがウィズコロナもしくはアフターコロナを見据えて昨年までの抑えた生産から例年の生産量に戻しつつあることなど、様々ですかね…

 

まぁ、よく言われる通り、中国生産から国内に回帰というのは定期的に行われており、そもそも急に国産にしようと言っても確保できる工場は限られてますし、今空いてる工場はそもそも仕事の無い工場でして…察しの通りでございます。

 

ただ、大手が自社工場を再稼働するとかなんとかで国産キャパを広げようとしてる動きもあり、中身はあまりわからないのですが、個人的には箱だけ作っても中身(人)いないんじゃ無い?とか思ったり。

 

とまぁ、そんな感じで縫製現場は休みなく働かざるを得ないとよく聞きます。

で、この際工賃を上げようという主張をしている方もいらっしゃいます。ここ20年で国内縫製工賃は下がり続け、(いや、下がり続けたというよりも安い工賃で縫っていた工場が残ったと言うべきかもしれないが)満足な給料を渡せず、若い人たちが働かなくなった背景はあります。ちなみに国内アパレル衣料の上代も20年で平均値で40%ほど下がったと言われています。海外のラグジュアリーブランドはガンガン値上げしているのにね。

 

いま、日本の工場で働いている人たちは当然若い人たちもいらっしゃいますが、主婦(働いてるのに主婦というのは違和感があるが)のパートの方が多い。地域によるが結婚してその地に家庭を作り好きや得意と言った感じて縫製の仕事をしている方が多いと感じる。一人暮らしの若い人が暮らせる給料ではないですし。具体的な数字は避けますが、スーパーマーケットのパートと同等くらいと思っていただければいいかと(地域にもよるし、あくまで個人の見解です)

 

スーパーのレジのパートが技術が要らないとは言いませんが、縫製業は特殊な技能です。そして、若い人たちが働ける環境になるにはぶっちゃけ倍程度の給料が必要になると思います。

 

だがしかし。アパレルもそんな簡単には工賃を上げることは出来ないと思います。仮に工賃を倍にすれば、まともに考えて上代は1.4〜1.5倍には上がるかな。適当だけど。そうなるとアパレルは付加価値の高いニッチな服を作らなくてはならなくなり、生産ロットは半減し結果としてどこも儲からないという可能性は大いにあり得ます。縫製というのはロットが小さければ手間は何倍にもなり、さらにアップチャージしないと成り立たない仕組みですからね。

 

俺はアパレルなんで原料高騰や価格競争に巻き込まれない付加価値の高い、どっちかと言えば富裕層向けの服を作らなければいけないと思ってはいますが、前にも書いた通り、富裕層向けはそれはそれでラグジュアリーブランドやデザイナーズ、歴史や知名度のあるブランドと戦わなければいけません。富裕層はステータスも必要ですし、ありますし審美眼も鋭く簡単には定着させることは難しいんですよね。単に「良い服を作れば買ってくれる」とはならないのが現実です。

 

実は縫製工場も同じで、先ほどの「今こそ縫製工賃を上げるべきだ!」という発信も、じゃあ、縫製工賃を上げるに値する価値持っているか、他の工場が出来ない技術があるか?という話になってきます。

 

俺も今回値上げしますという工場が何社かありした。今回は対応しましたが、正直この仕事でこの工賃は割に合わないなという工場もありました。

もちろん、この工場がなくなるとヤバいところは値上げしてもそのまま続けますが、そうでないところは…他の工場を当たっています。

縫製技術だけでなく、納期や対応、デザインへの理解など総合的に弊社と合っているか判断しますので、工場も工賃は上げればいいという話ではないのですね。

 

そんで、今回商品も値上げしました。得意なオリジナリティのある商品を中心に上げました。定番品も競争力のあるものは上げて、逆にウチがやらなくても良いもの、価格競争に巻き込まれそうなものはやめました。何気なく書いてますが必死のパッチですよ。実際は。

 

その値上げで離れていくお客さんもいるかもしれない。けど、それがうちのブランドの実力としか言いようがないですからね…

 

工場も値上げするなら、アパレルが離れていく覚悟でやるべきだし、これまで値上げしてこなかった、出来なかったのは何故か?をよく考えるべきだと思います。

そして、日本がダメなら欧米から仕事を取るくらいの本気度が無いと難しいとも思います。アパレルもよく言われますからね…日本がダメなら海外を目指せって。出来るもんならやってますよ…ってな感じで。

 

そんなこと言ったら身も蓋も無いですが、値上げ出来る実力のあるところは既にやってるし、出来ないところは力不足ということですかね。厳しいようですが。

 

ということで、それではまた😌