この話題は野暮だなって思ってはいるのですが、ビジネス上大事なことではあります。
最近流行りの「原価が高い」というのが良いものであるというような言われ方をするのに非常に違和感があるのです。
食品などもそうですが、アパレルにおいても原価率を高くして上代(小売価格)を下げるブランドは多くなったと思います。特にユニクロなども原価が高いから値段にしてはモノが良いと言われていますからね。
新興のECブランドなども店を構えない販売方法でコストをかけていないということで、原価を高くする傾向は強いです。
原価率なんと50%!みたいなの。なんか興醒めなんですがね…
大手はそれでもいいのかもしれません。けど、本当は大手ほど原価や利益にめちゃくちゃ細かいし、徹底したコストカットとあざとい部分でちゃっかり儲かる仕組みを作ってます。だから、小さいブランドがそれをやるのはちょっと危険なんじゃないかなと感じます。
アパレルにおける原価というのは、生地、副資材、縫製工賃で主に計算されます。
例えば、生地代1000円、副資材500円、生地1500円で原価率50%の場合、原価3000円、上代6000円となります(面倒なんで税抜きで考えます)
売れれば3000円の売上げということなんですが、ここでポイントになるのはサンプル代、パターン代、送料は含まれないことが多いということです。それらの費用は売上げから引くことになります。その残りが利益です。
小さなブランドが2〜3人でやってる場合だったらそれでも成り立つでしょう。しかし、売れ始めると忙しくなり人手が必要になります。
例えばもっと商品を良くしたいのでパタンナーを入れようとか、販路を増やすのに営業を、精度を上げる為デザイナーをと人員を増やしていき、事務所も広いところに引っ越したりと会社としては軌道に乗る準備をしていきます。
従業員のスキルを上げるべく研修を受けたり、優秀な人材を確保するのにより高い報酬を支払う為ビジネスを広げたり在庫を持った商売も視野に入れていくでしょう。
その時に、原価50%で採算が取れてくるのかは謎です。
「たくさん作れば安くなるでしょう?」
っていうのもありますが、前にも書きましたがたくさん作っても簡単には安くはなりません。
当然事業計画を立てる時に、そのくらいのことは考えるのでしょうが、先程の原価率計算は生地代、副資材、縫製工賃は入っていても、パターン代やデザイン料は含まれてませんので個人的には利益をもっと取らないと成り立たないモデルになっていくような感じがします。
「いやいや、規模は大きくしなくても良いんですよ、良いものを作れれば」みたいにいう人も居るかもしれませんが、後々揉めるんですよ。まぁ、やる以上は大きく育てないと、仮にお客さんは買ってくれても従業員はいずれ誰も付いてこなくなりますから。
というか、前からしつこく言ってますが、ファッションは付加価値のビジネスです。なるべく高く買っていただく工夫や努力をして商売をする知的なビジネスです。
なるべく買いやすい価格にするというのは悪いことではないのですが、単に原価率を高くするのはぶっちゃけ誰でもできます。そして付加価値を高めるのは誰でも出来ることではなく、そこに事業の価値があるのだと思います。
個人的には生活必需品以外で原価を高くして安く売るのは、自信のなさの表れだと感じます。
原価で価値を測るなんてちょっとね。なんで思いました。
それでは😌