ツイッターでヨウジヤマモトのコレクション画像が流れてきた。日本の有名俳優がモデルとして登場しており、注目を集めてたと思う。
https://www.fashion-press.net/collections/15791
いつものヨウジといえばそうだが、実際は少し抑え目で売れそうなラインナップかなとは思った。
よく言われるが、スタイルの良い人は特別な服を着なくとも様になる。だから、シンプルであったり、安い服でも見劣りすることは無い。逆にデザイン性の高い服はセンスが必要だと思うのでスタイルに恵まれていても逆効果になる場合があるから、ある意味リスクがあったり。
なんていうか、スタイルいい人か特別な服を着ると爆発力があるが、間違えるとせっかくのスタイルも残念になってしまうリスクがあるということ？
まぁ、そんなこと考えてたら何も着れなくなるからその辺は好きにしたらいいのだが、売る方はまた違った難しさがあると感じる。
デザイナーズビジネスも通常のブランドもそうだと思うが、ブランドが着て欲しい人(お客)とブランドの服を買える人(お客)にミスマッチが生じるということはよくある。
一般的には、ブランド側はスタイルは良くなくとも自立した個性を持った人たちに着て欲しいと考える。平たく言うと、自分たちの服をかっこよく着こなして欲しいと思ってる。
こういうのは最近よく話題になるルッキズム云々に関わってくるのであまり突っ込みたくは無いが、海外ブランドなどはそれを払拭しようと色々な取り組みをしているとは思うが、果たしてどうだろうか。ファッションが持つ根源的な部分だと思う。
まぁ、どんな服でも似合うかどうか、ファッションをその人の個性で表現する力、もしくは個性をファッションで表現する力の有る無しは存在すると思うし、そうじゃないと例えばモデルという職業は存在しない。そんな平坦な世界ではファッションの盛り上がりは無い。
で、先程のスタイルのいい人は何着ても似合う問題に戻るが彼らは高い服を着るとそれはそれで見栄えがするが、そうでなくてもなんの問題もなく生きてる。(特別服が好きだという趣味がなければ)
往年のジェームスディーンしかり吉田栄作しかり、Tシャツとジーパンで十分だということもある。
一方、お金はあるがスタイルには自信がなく、服の力、ブランドの力を使っておしゃれになりたいという人もいる。実際服にお金をかけている人はそんな方が多い。
これは、安い服が似合わないとかそんな問題だけではなく、ちゃんとしたいい服を着ていないと社会的に生きる上で不都合があるという意味であり、スタイルに自信がない人をどうのこうの言うものではない。
売る側とすれば、お金持ちで服を買う力があって、且つ服が似合うスタイルの持ち主が顧客として望ましいのかもしれないが、実際そんな人はほとんどいない。
先程のヨウジヤマモトの太い顧客がモデルよのうな人たちばかりだったらブランドイメージと顧客がマッチするんだろうが、現実にはそうではない。
かと言って、顧客の平均値を割り出してその体型や年齢に沿ったモデルを使えばいいかということでも無い。
よく、スタイルの良いモデルに着せると一般的な体型の人はわからないから、普通の人をモデルにして欲しいという要望があって、一般人をモデルにしたら全然売れなかったという話はアパレルあるあるとしてよく語られる。
俺も展示会場でモデルじゃなくて社員に着せてと要望があって着せて見せたら「やっぱいいわ、ごめんね」ってなったことが1000回はある。
食品や生活用品と違い、顧客の声を聞いて作りましたという服があまり売れないというのもあるし。嗜好品としてのファッションはそんな性質が強いと感じる。
デザインする人は自分ところの顧客がどのような人が買ってるのかを知る必要はあるが、あまり引っ張られてはいけないと思う。間違えると顧客の意見のせいにしてしまうことだってある。また、ブランドの世界観、コンセプトと顧客のズレはよくあるので、時に割り切って考えることも必要だ。
自分のブランドの顧客が「こんな風に素敵に見せてくれて(コレクションや展示会で)嬉しい」と思ってくれればいいなと感じでもらえればそれでいいのではないかなぁ。
だから、「こんなデザインの服作りたいけど、スタイルが良くないと似合わないだろうな」と諦めることもない。だが一歩進んで、じゃあどうやったら着てもらえるだろうかと考えるのがプロの仕事なので、半分見て半分見ないってのが必要なのかなと。
デザインは顧客の好みも加味しつつも現実を突きつけることはせず、表現は顧客が理想とするファッションらしい世界を作り上げるのがやはり正攻法なんかな。
なんか長々と書いたわりに当たり前の結論に至ってしまったが。そんな感じで😌
