kaizeの部屋

ツイッターからはみ出た日記

タグがなくてもわかる服の話

久々の投稿です。まぁ、なんか書きたい時に書けばいいかの精神になってきました…😇

 

という事で、こないだツイッターでとある服飾学生がこんなツイートをしてました。

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(編集雑ですまん)

 

これはある服を作ってる人が「ブランドタグがなくてもわかるような服を作りたい」というツイートを受けて「タグがなくてもわかるブランドにしたいのに、なんでどこでもあるような服を作ってるんですか?」という返信をしたという話。

 

個人的には、この学生さん(だと思う)は若干失礼な物言いだなと思ったが、俺も若い時はこんな感じで大人につっかかっていたのを思い出してなんとも言えない気分になった。

 

誤解を招く表現かもしれないが、あえて意見を言うと俺も最近のSNSを中心に活動している小規模ブランドに期待感は無くなっている。デザインが平凡、なにかを変える力があるブランドは少ない。SNSの賜物なのかそれでも多少は売れていく。(もちろん、そうではないちゃんとした目的がはっきりわかるブランドもあります!)

 

昔話で恐縮だが、以前は服を作ったらセレクトショップに卸して売ってもらうのが一般的だった。

自分なりに細かいこだわりや差別化の要素を詰め込んだとしても、一見どこにでもある見所がない服は一蹴されたものだ。なんとか仕入れてもらったとしても店頭で売れ行きが悪ければ次シーズンには取引停止となることもざら。他の有名で実力のあるブランドと店頭でガチ勝負をして勝ち抜かなければならない。

 

親切なバイヤーからは時に辛辣な意見をいただくこともある。努力や才能の未熟さを見抜かれる。そこで悩み苦しみ鍛えられていくのが当たり前だった。

 

今は誰でもデザインして商売を始められる時代。その状態がいいか悪いか俺にはわからないが、昨今のYouTubeなどに良く似ているかもしれない。もちろん、YouTubeなどでも才能溢れる人は勝手に見出されてメジャーデビューするんだが。

 

参入障壁は低いとされるアパレルではあるが、ぶっちゃけ低すぎてお金さえあれば誰でも服を作って売れてしまうようになってしまったと感じてはいる。

 

ただ、商売を成り立たせる難しさというのはあって、最初の2〜3年は良くても平凡な服は次第に淘汰されていく。それこそ、ブランドの突出した個性を作り上げることが出来ないと続かない。

やはり、ファッションはやはり努力と忍耐力と精神力だけでは無く、才能が必要だと俺は信じている。

 

そう思うとファッションに夢を見る若者が疑問を抱いて当然だと俺は思う。確かに商売の難しさや世間の厳しさを知らないのかもしれないが、それとこれとは別の話。「ブランドとしてタグが無くてもわかるようになりたい」というのならそれ相応のコンセプトと自らがデザインする意味を持って取り組まないといけないし、自分ではそれを目指していると言っても、側からそう見えないのであれば理由はどうあれ一つの事実だと言えます。

 

才能というのは誰でも開花させることができるわけでもなくて、はっきりいってブランドタグが無くてもそのブランドのデザインだとわかる服を作れる人は少ないと思います。

 

俺はこういう仕事やってきたので、隠れた能力を見出すことはできないが、ファッションの世界で勝負出来るひとはパッと見でだいたいわかります。

別にモードでもカジュアルでも高価なものでも安物でも関係なく、それぞれにキラリと光るものは認識できる。(と思う)

それは才能というものに大きな壁を自分自身が感じてきたからと思う。血の滲む努力とか経験では乗り越えられないものが存在するし、才能を誰でも持っている、開花させることが出来るのならファッションに価値は無いという持論もあります。俺にはみんな違ってみんな良いという考えはファッション分野においてはあり得ないと思います(スポーツや芸術の分野でもそうかもしれないが)

 

俺も昔は本当にそれで悩んだ。

まぁ、服を作ってる人は多かれ少なかれ、自分だけのデザインをしてみたいと思うのですが、それが難しいことはやればやるほど理解できて、自分に突き抜けたものが無いと自覚してても認めたくない、どうにかしたいと踠き苦しむわけです。

 

デザイナーやってた頃、自分の中では唯一のデザインは作れたことはありませんでしたが、好んでバイイングして頂いてたお客様からは「あなたのデザイン。すぐわかるわ」と言って頂いたことはありました。

 

けど、本当はそうじゃないんです。もっと突き抜けるような、それでいてみんなに期待される服を作りたかった。何度も買って着ていただけたら確かに細部に感じる俺の個性は拾えるかもしれない。けど、俺はそれで満足しませんし、ファッションで新しい世界を開拓するには程遠かったと痛感しました。

 

まぁ、今回の件は街の味自慢の定食屋さんに「なんでどこにも売ってある定食作るんですか?」と聞くようなもので、お門違いというか単に学生さんの理想のデザイナー像とかけ離れていたということでしょう。

 

なんかよくわからない話になりましたが、個人的にはその学生さんには期待したいと思います。そして俺みたいに自分の才能に絶望して次第に自分がデザインする意味、作る意義が薄れていって欲しくない。だから今のその無知で野暮な疑問を忘れないでほしい。突き抜けた個性が無くてもなんとか食べていけるこの世界で、自分の理想を貫けるか。忘れないでほしいです。

 

それでは😌